副甲状腺
咽喉元にある甲状腺の裏側に張り付く4つの小さなこぶのような器官。
それが副甲状腺です。
甲状腺が羽を広げた蝶々のような形であれば、副甲状腺はその羽の上下左右四隅に張り付く4つの小体。上皮小体とも呼ばれる器官です。
「副」甲状腺とは呼ばれますが、甲状腺とは全く別の器官で、全く違う働きを持っています。現代病の多くはこの副甲状腺がポイントになってきます。
副甲状腺ホルモンを分泌します。
副甲状腺の一番の大きな役割は、「血液中のカルシウムを一定量に保つこと」です。
不足すればホルモンを分泌して骨や腸や腎臓からカルシウムを取り出して血液中のカルシウムを増やそうとします。
多くなりすぎれば分泌を止めます。それでもカルシウムが増えすぎると今度は甲状腺がホルモンを分泌して、カルシウム濃度を薄め、平常値に戻します。
カルシウムは筋肉の収縮に関係し、心臓と脳の働きにも関与します。
血液の凝固にも一役かっています。
副甲状腺が必要以上に働くと、ホルモンの過剰分泌により血中のカルシウムは増加し続けます。骨からカルシウムを回収することによって、骨はもろくなります。代表例は骨粗しょう症です。
副甲状腺の一つもしくはいくつかに腫瘍ができることで起こると言われますが、それを副甲状腺機能亢進症と言い、治療法は「切除」しかありません。
この病症により発展する病気は、高カルシウム血症、低リン血症、尿路結石(にょうろけっせき)、腎障害などがあります。放っておくことのできない病気、ということです。
平気で切除できるのは全部で4つもあるせいでしょうか。
それとも、血中のカルシウムの調整など、生きる上で大きな支障にはならない、ということでしょうか。
もはや健康とは言えないが、生きてはいける、それが救いということなのですね。ただ、残った副甲状腺に関しては再発の可能性をたっぷりと残して生きることになります。
逆に副甲状腺機能低下症はどうでしょうか。
副甲状腺ホルモンの分泌不足により、血中のカルシウムが不足するようになりますから、低カルシウム血症、高リン血症に発展します。
指先の痺れやけいれん、皮膚の乾燥、精神不安定という形で現れることもあります。
神経が過敏になり、筋肉の興奮状態が続いて、収縮しやすくなります。
夜中に足がつるのは低カルシウム血症と言えます。
ちょっとしたアクションで手や足や、いろんな場所の筋肉がこむらがえりを起こします。ぴくぴくと意味もなくけいれんしたり、手足が良くしびれる、というケースも同様です。
また、皮膚自体も過敏症になり、いわゆる敏感肌、湿疹、皮膚炎、水虫などのトラブルが多くなります。
そして筋肉の収縮は血液の流れを妨げます。
これがむしろ副甲状腺機能亢進症より私たちに身近な多くの現代病の発生に一役買っているのです。
副甲状腺の機能低下が原因の一つとなって起きてしまう病気の一群をあげてみます。
花粉症、リウマチ、過敏症、アトピー性皮膚炎、関節炎、神経痛、喘息、蕁麻疹、肺炎・・・実はきりがないのです。百種類の病名を出して、この副甲状腺を強化するべきものがほぼ半数。
「腎臓」が病気の源ナンバーワン、弱ってしまうと病気につながる原因となる臓器の皇帝だとすれば、「副甲状腺」が西大后、「副腎」が東大后だと思います。血行は時代や時間の流れ、血液は民衆です。
癌やウイルス、ストレスは敵の仕掛けた罠。
とすれば、「脳下垂体」は影の皇帝、身体の営みにおける実権を握っています。何だか人体にも歴史が見える不思議さ。
我々が言葉を生み出すよりはるか以前から人体は存在した訳ですから、それはそれは長く深い歴史が人体には刻まれていることと思います。
話は脱線しましたが、足の親指の内側側面に反射区をもつ副甲状腺は、私が病気に対するアドバイスの中でも、半数は登場する名称。それこそ、もう飽き飽きします。親指の第二関節の裏側をぐるりと囲んで甲状腺、それに続いて側面にかけて副甲状腺。揉みにくいこの部分を無視してはいけません。
現代においては、子供の頃から履き続けた靴の影響も大きいのです。
ぴったりと足にフィットする靴は、ぴったりと副甲状腺の反射区を圧迫して毛細血管を塞ぎ続けます。神経反射はもう、自然の生活の中では副甲状腺に届くことは無く、人体が持つ自己治癒能力は働きません。副甲状腺は居眠りが多くなり、血液からカルシウムが薄れてゆきます。
減らす機能だけの甲状腺は、ただ見ているだけで何もできません。
副甲状腺の不調が多数の病名にかかわっているのは、今まで述べたように、カルシウムが全身に不足してしまうということが如何に問題になってくるかということを表します。カルシウムの摂取の問題ではなく、体内にカルシウムがあっても副甲状腺が血液中に必要な量のカルシウムを供給してくれないことです。
カルシウムの不足は骨がもろくなる、くらいにしか思わないのが普通ですが、骨や歯に含まれるカルシウムを99とすると、血液中には1%のカルシウムが不可欠です。その理由の一つが、脳の情報伝達にカルシウムがなくてはならない、ということがあります。
脳の機能が乱れる訳ですから、感情も不安定になります。
良く、イライラするのはカルシウムの欠乏、と言われますが、都市伝説ではなく、これは当たっているのです。
だから小魚や乳製品を意識して食べる。
それも良いのですが、肝心の副甲状腺が機能していなければ焼け石に水、ということになりかねません。
そしてやはり脳の正常な働きを鈍らせる、という意味では、人格さえ失ってしまう認知症、老人ボケの下地を作ることになりますから、決して呑気にはしていられないのです。もの忘れが多くなった、年だから仕方ない、と納得する前に、カルシウムの不足をどう補ってゆくのか、副甲状腺の不調を疑って、この器官をどう若返らせるのか、を考えるべきなのです。
副甲状腺は喉の前面、甲状腺という器官の裏側にあります。
通常4個ありますが、5個ある人もいます。
首というのは、甲状腺の項でも述べましたが、無防備にさらしていることが多い場所です。冬場は当然ですが、夏場でも朝方冷えることがあります。
オフィスでも家庭でもエアコンを効かした中で過ごす時間が長いと、これはもう立派な秋冬感覚です。
その中で、首というのはさほど寒さを感じない部分ですから、見事に冷却されていることもしばしばです。
当然、首の周りですこぶる血行は悪くなりますから、甲状腺、副甲状腺、そして脳下垂体あたりまでが、血液不足の憂き目にあっています。それも知らない内に。これらの器官は痛みを訴えてきませんから、もしそれで体調を壊しても、一体何が起こっているか分からない、というケースがほとんどです。
副甲状腺を弱らせてしまったら、どう治してゆけば良いのでしょうか。
まずの基本は首を冷やさないことです。
夏でもネックウオーマーと言いたいくらいです。エアコンの効いたところなら更に徹底しましょう。磁気やセラミックの遠赤外線ネックレスも助けにはなるでしょう。
次に全身の血行力を最大まで引き上げることです。
これを成し遂げるために官足法でも若石法でも、足裏や膝裏を徹底的に掃除して、血液の通りを良くしようとしている訳です。
それから、副甲状腺の反射区というものを利用して、神経反射で直接患部を温め、活性化し、それを定着させることです。
因みに副甲状腺の反射区は、甲状腺が足の外側で終わるところにあり、図面では骨の上も含まれる範囲ですが、どちらかというと「足の親指側側面」の、「骨との境」、「柔らかい肉から骨の裏側」に向かって揉むのが効果があります。
なぜなら、骨の上をさすっても特に何も感じないケースが多いのに対して、この部分を押すと強く痛むケースを多く見てきたから言えるのです。
花粉症や過敏症など、副甲状腺に起因すると思われる症状もこの反射区のこの場所で改善した例が多くあります。認知症・痴呆症の予防にもなります。
官足法で足揉みをしているが中々改善してこない、と思っている方は、まずこの副甲状腺を疑え、ということをアドバイスしています。
普通に足揉みをする(例:ウォークマットを踏む)だけでは当たらない場所にあるからです。
因みにですが、カルシウムの効率的な摂取は、決してサプリなどに頼らず、自然にあるもの、特に「すり黒ゴマ」を推奨しています。
カルシウムの含有率が高く、ビタミンの宝庫でもあります。
すりおろしたものは吸収も良いので、小魚を沢山召し上がるより簡単ではないでしょうか。