物言わぬ臓器の声を聞く
脾臓とは何か、脾臓の病気と原因、その治療法について
「脾臓」
脾臓という臓器。
何をしている器官なのか、一般的には余り良く知られていません。
左のわき腹にあるちょうど握りこぶしくらいの大きさの臓器です。
肘をたたんでわき腹にくっつけた時に、その肘の先が当る位置です。
肋骨の内側にあるので、外から触ることはできません。
食事をした直後に走ると、良く「横っ腹が痛くなる」ことがありますが、その痛くなる位置がこの脾臓の位置。
つまり、脾臓の痛みです。
急な運動で、多くの酸素が必要となり、血液が足りなくなり、脾臓がそれまで貯めていた血液を大放出する。その時にキューっとつるような痛みを感じる訳です。
もっとも、横隔膜が痙攣して痛む場合や、横行結腸にガスが溜まって痛む場合もあるとか、いくつか他の説もあるようですが。
脾臓は血液(赤血球と血小板)の貯蔵庫で、普段は老化したり破壊された赤血球を処分したり、血液中の異物を除去しています。
急な出血や、運動、激しい緊張などに見舞われると、脾臓は血液を身体が必要としていることを知って、収縮し、血液を放出します。
また、出血時は血小板を放出して止血を助けようとします。
食後の、胃腸が血液を必要としている時に、運動をすると更に血液が必要となり、脾臓が大収縮します。この時に痛みを感じるのが、横っ腹の痛みの原因です。
脾臓の中でそうした血液を貯蔵したり、異物を処分するところを「赤脾髄(せきひずい)」と言います。
脾臓は免疫細胞のリンパ球の生産も行っています。
その部分を「白脾髄(はくひずい)」と言います。
ずいぶんと血液を見張って、処分したり貯蔵・放出したり、侵入者があれば兵隊を増やしたりと、脾臓というのは血液の見張り役、裏方の世話係として大切な存在なのですね。
さて、脾臓が故障することはあるのでしょうか。
残念ながら、故障することはあります。
最も知られているのは、脾腫という、脾臓が腫れて膨らむ状態のこと。
脾臓が膨らむと血液の貯蔵量も増えて、平常時に貧血を起こしたり、出血しやすくなるという、本来の役目がアダとなってしまいます。
脾臓が肥大してもそれと気付きません。痛みがないからです。
脾臓の肥大が肺を圧迫して呼吸困難となったり、胃を圧迫して吐き気がするようになって、病院で調べると脾臓が肥大していることに気付きます。
脾臓が肥大する原因は、血液疾患、感染症、代謝異常など、さまざまな病気によるものですが、一本筋を通すなら、「血液の病気」「血液の汚れによるもの」と考えてみるとどうでしょうか。
白血病、肝硬変、肝炎、溶血性貧血、骨髄線維症、心不全、ウイルス感染など、脾腫を起こす原因は様々ですが、官足法という健康理論から見たときには、全て血液の問題です。
医療での治療方法は、脾腫を起こす原因となっている病気について、それぞれ部分的に処置をはかります。これはすごく消極的な方法のような気がします。
なぜなら、それらの病気は医療で根治できるものが少ないからです。
他を犠牲にする対処療法になる場合が多いように思います。
そしていよいよ脾臓がだめだとなると、切除してしまいます。
脾臓がなくても最低限人は生きてゆけるようですが、何も代わらない、ということはありません。まず、免疫系の営みには大きなダメージが残ってしまいます。
さて、全ての始まりは血行不良。
血行不良が内臓の衰弱もしくは内臓疾患を生み、内臓の衰弱が血液を汚してゆきます。
更にそこに追い討ちをかけるのがストレスによる血管の収縮。
長期にストレスが続いた時の自律神経のバランス崩壊。
食事の嗜好の偏り。食べ過ぎによる肥満と濃厚血液。
カルシウム不足による更なる筋肉の収縮。
あとは、どの病気が一番乗りとなるか、怯えながら待機しているのが現代の私たちです。
まず、いつも足の裏に老廃物を溜めないよう、もみほぐし、溜めてしまったものは踏み潰す。足裏に散らばる内臓の神経反射区(特に「腎臓」「心臓」「副腎」「脾臓」「副甲状腺」など)をよく刺激して活性化します。
骨の間に挟まったこれらの反射区は、深く、少々の圧力では届きません。
実際に身体の中で骨や筋肉に良く守られている臓器ほど、反射区も深くに守られている、と考えれば分かりやすいのです。
脾臓もその一つです。
脾臓の中の脾細胞には、ヘモジデリンという物質があり、これが胆汁の材料の一つになります。胆汁には強い殺菌力があり、もし胆汁の分泌が減少すると、感染症になりやすくなり、盲腸炎、関節炎、肺炎、中耳炎、肝炎などになりやすくなり、腫瘍の原因にもなります。また、脾臓が弱ると肝臓も正常に働けなくなりますから、脂肪分の代謝力が低下、肥満や腰痛、肩こりやリウマチ、出来物、油症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、果ては甲状腺の機能に異常が出て、高血圧や低血圧も生み出します。
ここまで分かれば、決して無視できない大切な器官であることが分かります。
腎臓や肝臓は冷やさずに暖めることが大事。外から治療するには患部に暖めたこんにゃくを乗せたり、お灸をして温める、というのは昔からある有効な治療法です。
脾臓というのは、身体の他の臓器に異常ができた場合にそれを助けようとして自ら腫れてしまう器官です。
ですから、外からの治療としては暖めず、逆に冷やします。
左肘の当るところに脾臓あり。
この物静かな縁の下の力持ちのことを覚えておいて損はありません。
さて、脾臓肥大や脾臓脾腫を治すために脾臓だけのことを考えれば良いという訳ではありません。そもそも脾臓の調子がおかしくなるのには、血液の状態が良くない、というそれ以前の問題があったはずです。
そもそも血液中のアルコール、アンモニア、毒物、薬物の解毒は腎臓が担っています。
また、肝臓にもアンモニアを解毒したり、ウイルス、毒素や色素、腫瘍細胞、壊れた赤血球などを取り込んで消化する機能があります。
肝臓と腎臓が「肝腎」というのは血液のデトックスがこれらの器官で行われるからです。
そのいずれか、あるいは両方が機能を落とすと血液のデトックスは万全ではなくなります。
特に腎機能の不調は、毒素を消化しないまま尿に混ぜて輸尿管、膀胱に排泄しますから、直接的には膀胱炎や膀胱に関する障害(頻尿など)を引き起こす可能性があります。もちろん血液全体が汚れる訳ですから、身体のどこにどんな障害を起こすか分かりません。
その一つのアラームが脾臓肥大や脾腫だと考えても良いと思います。
毒素の混じった血液をじっと貯めている訳ですから、毒素の影響を受け易いという点では膀胱と似ています。
脾臓に問題が起きたなら、腎臓や肝臓を立ち直らせなくてはならないのです。
それができれば自然に脾臓の腫れも引くことでしょう。
足裏の土踏まずには「肝臓」「腎臓」「脾臓」の反射区が見事にセッティングされています。昔から青竹踏みが健康にいい、と考えられてきたのは、青竹が土踏まずを刺激するのに丁度良い形だからです。
現代では、官足法で使われている、「ウォークマットⅡ」のような便利道具がありますから、もっと上手に効果的にこれらの反射区を刺激し、同時に足裏に長年蓄積した老廃物をつぶし消し去って、血液の循環を良くしてゆく効果があります。そのために、ウォークマットをただ踏んでいるだけで、難病さえ治ってしまったという事例が後を絶ちません。
もちろん、誰でも、どんな病気でも全てがそうだということではありません。
ただ、健康になる素質をもった身体、というものは、やはり足裏の掃除と刺激によって作られることは確かだと思います。
→反射区図表で位置を確かめたい方はこちら
参考資料