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子供の病気

店長です。


子供の病気はつらい。


親は心配でたまらない。


自分が変わってあげたいと思う。


子供を病気にした自分を責める。


子供を失う悲しみは何を失うよりつらく悲しい。


それが親となった者の、親としての本当の目覚めを不幸な形で知る時。


今日は私、店長の誕生日です。


54歳になりました。


写真素材 PIXTA
(c) ヒメカワ写真素材 PIXTA


昔で言う、人生50年をとっくに過ぎました。


今生きているのは誰のおかげでしょうか。


あらゆる自分以外の何か愛情あるもののおかげだと思います。


今のところ私の二人の子供もちゃんと成長しておかげさまで五体満足、それだけで親孝行な姿を見せてくれています。


二人が幼い頃、入院の憂き目にあったことがありました。


下の子が食欲を失い、たった一日でまぶたが落ちくぼんで、妻の腕に抱かれていても苦しそうに、ひいひいと言う様子でした。まだ自分のことも表現することもできない幼児です。


夜中でしたから、明日病院に連れて行こうと私は言ったのですが、妻は心配だったのか、夜間の緊急に連れて行きたいというので、タクシーを呼んで次男を病院へ。


診察の結果、次男は「ロタウイルス」という伝染病に侵されていました。
病院の先生は、もう少し遅れていれば間に合わなかった、今夜が峠です、というのです。


私はその時、明日にしよう、と思ったことの判断ミスをそのままにしていたら、次男の命は危なかった、と思うと本当にぞっとしました。


妻が母としての、女としての直感を発揮してくれなかったら、どうなっていたのかと思うと、生きた心地がしませんでした。


私は病院の先生はきっと息子を助けてくれると信じていました。
妻は病院に泊まり、私は家に帰りました。
というのが、たまたま妻の母親が秋田から東京に上京して翌日は家に来ることになっていたからです。


翌日はお母さんが来て、私と長男と3人で過ごすことになりました。
その翌日の朝、朝食にパンを食べていましたが、長男が暖めたミルクを飲んでいる時に、突然「ううっ」と変な声を出したと思うと、お腹が痛い、と言い始めました。
すぐにまた病院です。
診察を待つ間もお腹を抱えて痛がっています。
次男と同じウイルスに感染したのだと思いました。
周囲の人も、心配そうに、可哀そうにねえ、と言ってくれました。


診察の結果、長男の方は「腸閉塞」だということでした。


全く別々の命にかかわる病気に、同時に見舞われてしまうとは、何と言う偶然なんでしょうか。
私はその経験によって、親としての本当の責任を感じさせられたのではないか、と今では思い出します。


二人はおよそ1ケ月強入院して、ほぼ同時に退院しました。


二人を救ってくれた病院の先生には足を向けて寝られないくらい、感謝でいっぱいです。


写真素材 PIXTA
(c) ナカムラタケシ写真素材 PIXTA


子供が入院している時、病室には他の子供も沢山入院していました。
その中に、もう3年も入院している小さな子供がいました。
病名は忘れましたが、不治の病に近いものでした。


子供のベッドの周りは、おもちゃやテレビや、もう一つの子供部屋のようになっています。母親は長いこと病院に寝泊りして、子供に付き添って眠るのです。
自分たちより、もっともっと子供に対してつらい課題を持たされている親もいる。
自分たちはまだまだ恵まれている。
そう実感する光景でした。


ところで、私は今日誕生日です。


岡山の幸町の病院で産声を上げました。
1956年12月13日8時7分。


当たり前ですが、産んでくれたのは母親です。
そうして今の自分があります。


誰もが母の愛と、母の痛みを犠牲にして産まれてきます。
その命を粗末にしていいことなどありません。
先祖と両親と目に見えないたくさんのものの愛に包まれて誕生し、強くなるために、人の愛を知るために沢山の課題を与えられながら生きているのが人生だと思います。



そこで挫折したり、自暴自棄になったり、自分だけが不幸だと思ったり、自分の欲だけで生きていいことなど永遠にないと思います。


私も幼児のころ、(当然記憶はないのですが)食中毒で急性腸炎を起こして入院したことがあるようです。父母から聞いて知ったのです。
毎日首に注射を打ち、あまりの咽喉の渇きから、まだ物も持てない幼児だったのに、自分で水の入ったコップを手に持ち、むさぼるように飲んだそうです。


死んでもおかしくなかった。
それを救ってくれたのも病院の先生。


こうして無事に54歳の誕生日を迎えることができました。


私には、改めて病院とお医者さんを否定することなどできません。


お医者さんも100%ではない。
お医者さんも一生懸命なのに、救えない命もある。
治せない病気がある。
お医者さんも悩んでいる。本当は100%患者さんの病気を治したいに違いないのです。


それを私にフォローさせて下さい。
それがせめて私からの恩返しです。


54歳の誕生日の今日、そんなことを思っています。


店長でした。


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(c) まるめだか写真素材 PIXTA

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