頸部(首)
首の役割は何でしょうか。
頭を支えています。
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ首が据わってなくて、無理に身体を起こすと頭が垂れてしまいます。数ヶ月過ぎると首の筋肉が発達して、安心して抱っこできるようになります。
以来、私たちは首の支えによって頭を起こしていられます。
頭を左右上下にに動かすことができます。
これによって身体の向きを一々変えずに左右上下を見たり、臭いを嗅いだり、音を聞いたりできます。
そして最も大事なことは、血液を通して脳に送るパイプ管であることです。
ただ、通しているだけ、何か特別なことをしている訳ではありません。
むしろ、困るのは、血液をただ通す、という普通のことができなくなることです。
その原因は色々あるでしょうが、血管自体が固くなる、細くなる、血管の中に老廃物などが付着して通りが悪くなる、筋組織に血液自体がうっ血して更に渋滞を起こす(首の凝り)などが主な要因ではないでしょうか。
いずれにしてもある頃から頭部に問題が起きるようになったなら、首を疑う必要がありそうです。
頭痛・眼精疲労・難聴・耳鳴り・物忘れ・自律神経失調症・・・・
軽い目の症状が出ている時から、それは頭部のSOS信号だと思わなくてはなりません。
がん、心疾患に次いで死亡原因の第三位に脳血管疾患があります。
脳血管疾患とは、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こるものです。
脳梗塞と脳出血のタイプに分かれ、脳出血の場合は例え命は無事だったとしても、身体に後遺症が残ることが多くあります。
接命に関わるものではないですが、アルツハイマーや認知症も、立派の脳の病気、脳血管疾患に一端ではあるのです。
これも脳への血液不足が原因で脳細胞が萎縮し、副甲状腺の不調によってカルシウム不足となり、思考伝達が難しくなったと考えられます。
もちろん悪者は首だけ、という訳ではありません。
そもそも全身の血行力が落ちていることに全ての責任があります。
それに腎機能の低下が加われば血液は重い、不純な状態となり、輪をかけて血行力を阻害します。このことについてはは「基本的体質改善法」の項をお読みいただければ幸いです。
その上で頭部(脳)への血液循環を妨げているのではないか、というのが首。
首は冬でも裸で冷気にさらしていることが多いと思います。
夏場でもエアコンの効いたところに長くいて、やはり首を冷やしています。
夜寝ている時でも、あまり首に何かを巻いて寝ている人は少ないと思います。
そして、朝方冷えて来ると、首も冷やしてしまいます。
冷える、ということは血行を落とす、ということです。
そして徐々に血管も固くなり、長年かけて首の血行力を落としている、と考えられます。
首は弟三の心臓とまで言っているのは、近年、頭部に障害を抱える方が急増しているように思うからで、目、耳、鼻、口の病気だけでなく、脳そのものに不調をもたらすのが、首の状態如何に関わるように思うからです。
うつ病、不眠症、不安症、パニック障害、双極性障害、統合失調症、自律神経失調症などの神経症が、ご相談を受ける中でも特に多く、これが首の状態と非常に関係が深いと感じることが多いのです。これらの症状は朝方強くなり、気温が急に下がった時に重くなり、夏場より冬場の方が症状が重い、という傾向が見られました。
そして、首と冷気との関係には無頓着な方がほとんどでした。
このような症状にお悩みの方は、まず全身の血行を良くした上で、首を冷気から守り、首の血行ということに努力を使わなくては、医療の力を頼らずに治す方法はありません。
中には薬に頼るのが嫌で、足を揉んで治せないか、と考える方も最近は多くなっていまして、そのような方からご相談を受けた場合、まず足裏を揉んで血行力をつけること、そして首に注意を払うこと、反射区として、親指の付け根をしっかりと揉む事、を推奨しています。
親指の付け根は健康棒などでちまちま揉むのでも構いませんが、手の人差し指と中指を使って豪快にはさみながらグリグリと揉むのがベストな揉み方だと思います。
首の反射区は図表で確認すると親指の裏側の付け根、ということになりますが、実際に首は360度、首です。足の親指を頭部に例えるなら、足の付け根は首、そして裏も表もなく360度首、であるはずなので、360度揉むことが最も効果を発揮するはずです。
それには棒で揉むより先ほどの方法でひねくり回す方が簡単で、一度にできて、効果的だということです。
さて、首の凝りが酷くて、何とかこれを解消したい、というご相談も多くあります。
首の凝りが酷いなら、肩の凝りも酷いはずです。
余り意識はしなくても、背中全体も凝っているはずですし、腰の後ろも揉むと痛い、気持ちいい、ということになるでしょう。太腿も、ふくらはぎも、マッサージに喜びを感じるでしょう。
足の裏からふくらはぎ、太腿、腰、背中、肩、首、と血行は途切れることなく繋がっている訳ですから、凝りがある点では身体の後ろ側全体に、文字通り首尾一貫しているはずです。
その発祥地である足裏を毎日徹底して揉んでいる内に、いつの間にか全ての凝りが消えている、というのは良くあることで、血行が改善したなら、凝りも消える、当然の理なんです。
ところが、あるケースの場合には、いくら足裏を揉んで半年、1年経っても酷い首凝りが続いている、という方がいます。
この場合は、脳神経の障害を疑ってみます。
過去に頭部をぶつけた経験はないか、自己で頭部に怪我をしなかったか、むちうち症の経験はないか、などヒアリングをすると、かなりの確率で該当する思い出がありました。
その時に脳の神経にダメージを与えた可能性があります。
脳神経は12種類ありますが、その内の一つで、「副神経」というのが、首や肩の筋肉を緊張させる~弛緩させる、というのに関係する神経です。
この神経にもしトラブルがあると、首の後ろの筋肉は常に緊張して緩和されず、それによって酷い凝りになってゆく、というもので、これはいくら足裏を揉んでも治りません。
足の親指の爪、人差し指寄りの生え際、というのがこれら脳神経の反射区、となっており、これをマッサージする必要があります。
親指全体、首の反射区も含めて、親指全体を揉む、というのが解決策です。
→脳神経とその役割について知りたい方はこちら
また、首の前方には甲状腺、副甲状腺という、身体全体の健康状態に関係する重要な器官が備え付けられています。
首の不調がこの二つの器官を弱らせ、原因の特定しにくい病気の多くの片棒を担いでいます。
甲状腺、副甲状腺の役割と病気、原因と解決法などについてはそれぞれ、「甲状腺」「副甲状腺」の項をお読みいただければ幸いです。
首の中には「頚椎」という脊椎の一部があります。
頚椎は7つの骨で構成され、四肢に向かって神経が出ています。
頚椎の異常は、ヘルニアに代表されるように、腕や足のしびれ、動作の不自由、という形で現れます。わずかでも手の指先に痺れがある、などのケースでは頚椎での神経圧迫を疑います。
なぜこうしたことが起こるのかというと、やはり血液の循環不足、各器官の酸欠、ということの結果だと考えています。
いずれにしても首の血行は頭部全体の健康に深く関係します。
頭部は当然命と密着しているものですから、「首は第三の心臓」と言う訳です。