鼠蹊部(鼠径部)
「そけいぶ」と読みます。
太ももの付け根の部分前方にあたり、股関節のあるところでもあります。
鼠(ねずみ)という字がついていますね。
これは、胎児が男性として成長し、精巣が身体の外に出てくる時に通るルートを鼠蹊管と言いますが、その時の様子を「鼠が移動する路」に例えたことに由来するようです。
鼠には悪いのですが、男性の機能が鼠とは、余り嬉しくない表現ですね。
ここにはどんな問題が起き得るのか、調べてみましょう。
サッカー選手に多いとされる、鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)というのがあります。片足で立って足を振り上げる動作は、本来の人間が取る必要のある行動からはかけ離れています。つまり、身体はそのような動作に向いて作られていないのです。身体を鍛えぬいたスポーツ選手でも、本来は必要がなかった動作を繰り返すことにより故障することがあります。
野球選手の腰痛や関節痛、筋肉の張り、肉離れなども同じです。
休むこと、カルシウムを充分摂ること、血行を良くして冷やさないこと、患部を直接もむこと。それしか治す方法はありません。
ただ、神経反射への刺激による修復力は期待できます。
くるぶしの上内側、骨と肉の間を強く押すと痛みがあるはずです。
痛みがあればそこが鼠蹊部の反射区、痛みが取れるまで続けることで回復に向かいます。
最もポピュラーな病気は鼠蹊ヘルニア(鼠径ヘルニア)、いわゆる脱腸です。
幼児から大人まで、幅広く起きる現象で、はみでる位置により、外そけいヘルニア、内そけいヘルニア、大腿ヘルニアと呼び方が変わります。
そけいヘルニアを放置して嵌頓(かんとん)ヘルニアになると腸が壊死する可能性があり、危険な状態です。
子供の場合は先天的なもので、大人の場合、鼠蹊部の筋膜の緩み、内臓の下降、胃腸不良による余計な膨張など、肉体の環境が鼠蹊ヘルニアを育てているのです。
胃腸を整えスリムにして、食事にも気をつかうことが大事です。
軽い食事を心がけること、胃腸の働きを活性化する、元気にする。
また、鼠蹊部には大きなリンパ節もあり、リンパの働きの弱い方に鼠蹊ヘルニアが多いのも特徴です。直接鼠蹊部のリンパを揉むのが良いのですが、足くるぶしにあるリンパ腺の神経反射区を良く刺激することで、リンパ系の動きが活性化します。鼠蹊部のリンパ節においても流れが活性化すれば、助けになるはずです。
鼠蹊部は鍛えられませんが、鼠蹊部の血行を良くして、緩んだ膜を引き締めることは不可能ではありません。
嵌頓に至る前に、毎日の生活の中できちんと手を打つべきなのです。
鼠蹊部リンパ節炎の場合もあります。これは足裏から血行を良くしてリンパ腺の反射区を良く揉んで治します。
他にも鼠蹊部肉芽腫というまれな感染症もあります。
鼠蹊部の問題ではなく、ウイルスによる感染症。
免疫を高めて菌に負けない身体を作ることが大切です。
答えは官足法にあります。
ご存知の方はもう一度良く、初めての方は書籍「足の汚れが万病の原因だった」を良くお読みになり、もし何か健康上のお悩みを持っていらっしゃるなら尚更、是非解答を見つけて下さい。
さて、鼠蹊部には鼠蹊部リンパ節という、大きなリンパステーションがあります。リンパ管と言えば、免疫細胞の通り道、リンパ節とはリンパ管を束ねる中継地点です。全身に分布していて、およそ600個ほど存在します。
鼠蹊部にあるリンパ節は、上半身と下半身のリンパの中継と言えるので、大事な節目、ここが固かったり、揉んで痛みを感じるようなら、免疫系に不安があります。脇の下、膝の裏、顎のリンパ節等と、鼠蹊部のリンパ節は直接揉みやすい場所ですから、免疫力に不安のある方や、実際に癌が見つかった方などは、患部近くのリンパ節を良く揉むようにすると良いです。
股関節の痛み、股関節炎なども、まずは鼠蹊部リンパ節の状態を確かめてみて下さい。
反射区としては、鼠蹊部は足首前方上方の窪み、股関節は足首くるぶしの下辺に位置しています。