肺気胸(自然気胸)

2012/12/29

肺気胸(自然気胸)


皆さんは魔法瓶の構造をご存知ですよね。


魔法瓶の中にはお湯や冷水を入れて、熱が冷めにくく、逆に冷水が長持ちします。
それは、魔法瓶の内側の空洞とは別に、内側と外側のスチールの間に真空の空洞があり、これが熱伝導、熱放射を防いで保温に優れます。


保温のためではないですが、肺も同じような構造になっています。
呼吸をするには肺は膨張して肺の空洞に空気を取り込み酸素を吸収します。
そして収縮しながら二酸化炭素を排泄します。
それを横隔膜が上下運動することで行っています。


肺の内部の空洞を包むのが肺胸膜(臓側胸膜)です。
その外にはもう一つの空洞(胸膜腔)があり、それを壁側胸膜が完全に包んでいます。
この空洞(胸膜腔)があるから肺は拡縮できるのです。
ところが、何らかの理由で内側の臓側胸膜に穴があくと、肺の空気が胸膜腔に漏れ出してしまい、収縮して呼吸ができなくなります。


これが自然気胸と呼ばれるもので、一般的に肺気胸とも言います。


幸いにして肺臓は左右に2つあるので、一つしぼんでもぎりぎりに呼吸はできますが、生活には支障があります。


問題はどうして胸膜に穴が開くのか、ということです。
痩せ型の青年に多いと言いますが、理由は見当たりません。


胸膜に穴を開けるのは、嚢胞(ブラやブレブ)の存在です。
肺の細胞(肺胞)が変化(腫瘍化)したものです。
この嚢胞は一言で言うなら肺臓の内部おできです。
身体の表面にできた吹き出物が膿を出し血を流して破れることがありますが、同様にこのオデキも破れることがあり、胸膜に接しているものが破れるとついでに胸膜にも穴が開くことがあります。


穴の開いた胸膜は手術で治すか、可能であれば自然治癒に頼ることもあります。


問題は穴の開いた胸膜ではなく、穴を開ける嚢胞ができてしまう体質です。


人の身体で重要なのは血液の循環、同時に血液の質、というものを外して健康は考えられません。動脈、静脈のような太い血管は放っておいても、毛細血管というものが如何に健康の鍵を握っているか、忘れてはなりません。
人間の身体の末端の末端、細部の細部にまで血液(つまり酸素と栄養)を届けられるのは毛細血管あってこそです。
この毛細血管は髪の毛より細く(3ミクロン前後)、赤血球が身を細めて通る狭さです。
ところが血液の流れに力がなく、血液の中に不要な余分(老廃物)が多くなると、毛細血管を血液が通りにくくなり、詰まらせてしまうこともあります。
すると、毛細血管からの酸素と栄養を待っている細胞のいくつか(数億個単位・・・)に供給が耐えて酸欠を起こします。


自覚できる典型的症状としては冷え性があります。
指先足先の毛細血管に血液が巡らない、だから体温が伝わらず冷えてしまう。


さて、他の記事で、子宮筋腫など子宮の問題、腹膜擬粘液腫の原因に触れていますが、人体には身体の内部に空洞が存在する場所がいくつもあります。子宮、腹腔、膀胱、輸尿管、輸卵管、腎洞、前頭洞、食堂から胃腸までの全ての器官などです。
子宮も含めこのような空洞のある部位は、壁の表面のほとんどが毛細血管に頼って生きています。つまり、真に大事なのは毛細血管を通り抜ける血液が、充分に足りているかどうかなんです。


そして、障害が起きやすい臓器のほとんどは、空洞を持つ器官に多いということです。
空洞があるために、空洞には血液がありませんから冷えやすいのです。
子宮が冷えやすいのも大きな空洞があるためで、婦人病が多くなる理由です。
婦人病はあっても男性病というのはありません。
いかに女性特有の病が多いか、ということを表します。
それは子宮に空洞があるから毛細血管と血液の良し悪しで子宮が冷える、冷えるから血流が滞って筋腫などを作りやすくなる、という悪循環です。


遠回りの説明になりましたが、肺には当然空洞があります。
二重構造で、外側にも胸膜腔という空洞があります。
薄い膜でできていますから、外部からは肋骨で守られていても、内側からの反発に耐えられません。肺のなかにおでき(嚢胞)ができて破裂する、それが同時に胸膜に穴をあけるのですから、嚢胞を作る体質の方は一度治っても再発の率が高いのです。


新陳代謝とホルモンのバランスにより若者ににきびが出来ますが、若者に肺気胸が多いというのはそのせいでしょうか?


若者でなくなるとニキビは吹き出物に変わります。


歳を取れば肺気胸にはならない、という理由は見当たりません。
何にしても体質を改善して、日頃から血行と血液を大事にしておきましょう。