更年期障害 解消マニュアル
女性の卵巣で分泌される、卵胞ホルモン(エストロゲン)は、初潮に始まり、妊娠から出産、閉経に至るまで、様々な女性の体の働きを支配しています。
更年期障害という現象は、40代半ばから50代後半にかけてこのエストロゲンが減少することにより起こるとされています。
必ず女性が更年期障害を経験するか、というとそんなことはありません。
何事もなく老年を迎える方もいます。
体に起こった大きな変化が引き金にはなっていますが、そもそも年齢的には色々とそれまでに体を酷使した、あるいは自然に適わない使い方をしたツケが出てくる年齢ではあります。
それが起こるか起こらないか、は体質の問題が大きいのです。
体質の問題とは、「詰まり体質」のことで、血液の流れが良くないことを言います。血液の流れが良くないということは、体中が酸欠と栄養不足を起こす可能性があるということです。そして長期にそれが続くと、臓器全てに悪影響が出てきます。消化や代謝に問題が起きると血液が汚れます。血液が汚れると血流が更に悪くなります。これが病気へと向かう負のループです。
エストロゲンの分泌どきを判断しているのは卵巣ではなく、脳内にある「脳下垂体」というところがその分泌を刺激するホルモンを出しています。さらにその上に視床下部という指令本部があります。
人間の成長から死まで、それぞれの年齢に起こる全ての変化を司っているところです。脳が酸欠を起こすと脳下垂体も正常に働けなくなる、それは自然の理です。何が起きても不思議ではありません。
のぼせ(ホットフラッシュ)、ほてり、めまい、うつ状態、イライラ感、不眠、頭痛・・・主に頭部に近いところに起こる原因不明の不快な現象と、神経症の発症。自律神経失調症という名前。原因も治療法も良く分からないので、とりあえずそのような数々の現象を一くくりにしたものです。
これを治すことは医療では不可能です。更年期障害として現れたものであれば、時期が来れば消えていくこともありますから、じっと耐えて待つのが一番の治療法でしょうか。症状を抑えるだけでも良く効く薬があれば儲けものです。
ここまでくればお分かりでしょうか。
更年期障害とは、「更年期」に起こる「自律神経失調症」のことです。
自分の意思とは関係なく働いているもの、例えば心臓、胃、すい臓など、内臓は全て私たちの意思とは関係なく動いています。体の新陳代謝、免疫機能、睡眠時の呼吸、血液を造ったり、汗をかいたり、熱を出したり下げたり、無数の作業が毎日、寝ている間にも行われています。
そのように私たちの意思とは関係ない動きを自律神経が行っています。
ただ、自律神経そのものは何か、については正解はありません。
逆に言えば、自律神経とは関係なく、人が自分の意思で動かすものがあります。その意思とは何か?について誰も正解を言えないのと同じです。哲学の話になるのです。
自律神経は全く逆の働きを持つ二つの神経に分かれます。
「交感神経」と「副交感神経」です。
交感神経は緊張や興奮時に働きます。労働、運動、精神的な興奮など、普通は日中において活動する間は交感神経が優位に働きます。
副交感神経は体の活動を休ませる、緊張を鎮める働きです。
特に夜間睡眠時、日中でも休息時やリラックスをしている時は副交感神経が優位となって働きます。また、食事をしている時は、胃袋をはじめ内臓を動かすのに多くの血液が必要になるため、副交感神経が働いて筋肉や体全体の活動を一時休め、血圧を下げます。ですから怒ったり泣いたりしながら食事をするのは体に良くないのです。
自律神経が上手く均衡を保って、体の活動のバランスを取っているときは健康です。
不規則な食事や偏った食事、過労気味の労働、睡眠不足、薬の常用、心の悩み、会社などでの人間関係によるストレス、不平不満などが多くなると、あるとき自律神経のバランスが崩壊して失調症となります。
自律神経失調症を治す薬はありません。
心の悩みを治す薬がないのと同じです。
ですから、医療では、自律神経失調症からくる様々な症状を押さえるために、特に顕著なものを対象にして、対処療法にかかります。
不眠症であれば睡眠誘導薬、不安症には精神安定剤、うつ気味なら抗うつ薬という訳です。
これはもう、飲み続けなくてはなりません。
更年期の体の変化が落ち着いて、体が慣れてしまうまでは薬の御用です。
自律神経がなぜ働くのか、解明することはできませんから、誰もそこに触れた話をすることはありません。無意味だからです。
解明できないものをコントロールできるはずがないのです。
ただ、視床下部や脳下垂体という、自律神経に深く関与している器官があることは医学が見事に見つけています。前人の素晴らしい研究成果です。
自律神経自体は故障しません。自然が動かしているものだからです。
むしろ故障するのは人の心でしょう。心が故障すれば意思も狂います。
ところが自律神経は何があっても前向きしかない大自然がエネルギー源です。
だから自律神経自体は壊れないのです。
視床下部や脳下垂体という、自律神経の伝道役である器官が故障すればどうでしょうか。正しい状態で自律神経の働きが伝わらなくなる訳ですから、色々な問題が起きて当然です。
結論から言いますと、自律神経失調症は、頭部の血液循環が不足している状態に加えて、ストレスの連続によって長く血管の収縮が続いたことによる酸欠で「脳下垂体」の機能がダウンした状態です。更年期の女性の、ホルモン分泌が急に激しい変化をしたことも、一つの大きなストレスと考えられます。
しかし一番の問題はその前に「頭部の血液循環が不足」していたことが問題です。人は誰にでも多かれ少なかれストレスがあるものです。
特に成人してから働き盛りの30代、40代はストレスだらけです。
その年代の人は皆自律神経失調気味でしょうか?
違いますね。ではそうなる人とそうでない人の違いは何でしょうか。
例外なく「頭部血行の悪さ」が原因です。
基本的に「肩こり」「首こり」の人が多い。もともと頭痛持ちであったり、眼精疲労や目の周辺の病気、耳鳴りなど耳の周辺、口内炎など口の中の病気、鼻の病気、花粉症や副鼻腔炎の人も多いのです。
肩こり首こりはつまり、肩、首で血行が悪いことの証明です。血液がうっ血して凝りになるのです。首、肩の血行が悪い、ということはもう必然的に頭部への血行も悪いと考えて当然です。事実、頭の周りで色々と不都合が出てきます。
最後に「脳」の一部である「視床下部」「脳下垂体」に影響が出て「自律神経失調症」の誕生です。思い当たることがあるのではないでしょうか。
更年期の場合はホルモンのバランスが崩れたことが引き金となったのです。
さて、官足法はこの更年期障害。自律神経失調症に対して、例外なく効果があることを長く実践してきて経験しています。薬も必要ありませんし、治療に長くかかることも比較的少ない方だと思います。
血行不良の原因を解決しながら、神経の反射を利用して脳下垂体の酸欠を解消し、興奮が収まらない神経を鎮めて治してゆきます。
血行不良を解決するには、足(特に足裏)を無視できません。
足の裏は常に地球の重力を受け、地面に押し当てられ、靴に圧迫されています。
その上心臓から最も遠く、血液が届けられてから心臓まで返す道のりは長くしかも重力に逆らって帰ります。良く川の下流で水が淀み、そこにゴミや油などの漂流物が溜まって汚いドロ沼のようになった光景を見ます。水道のパイプは大概、管の低い方にある曲がり角に髪の毛などのゴミが溜まって詰まります。どうも人間の体にも同じ様な現象が起こってしまうようです。
足裏がゴミ(老廃物)で詰まり血行が阻害されることが病気への始まり。
良くテレビなどでもタレントが足裏マッサージの罰ゲームで痛がる様子を目にしますが、あの痛みは足裏の老廃物の痛みです。多く溜めた人ほど痛いし、多く溜めた人ほど間違いなく血行は良くありません。
足裏の老廃物を綺麗に排除して掃除が完了すれば血行は回復します。
ただ最初は痛みを伴う作業になります。気持ちよく足を揉んで治せるほど甘くはありません。体質の大改造なのです。
このためにはひたすら足の裏を強く強く長時間揉み続ける必要があります。
でも、手力で行うには、時間がかかりますし、疲れます。その上、どうしても無意識に加減してしまいます。
官足法ではウォークマットⅡを推奨していますが、これであれば上に乗って足踏みをするだけ、力は自分の体重だけですから疲れません。
そして、痛くても手加減できない、これが最高のメリットです。
1回に20分以上、毎日続けて下さい。
それが終ってから、足の親指をとことんいじめて下さい。
親指は全体が「頭」の反射区です。
(※ここでは反射区についての解説はしません。末梢神経に訴えて悪いところに元気を送るためのツボ、と解釈していただければほぼ間違いありません。)
刺激が届けば対応する各器官が元気になってゆきます。
「脳下垂体」の反射区は指の腹の肉厚のところ、その奥深くに鎮座しています。
刺激が不十分にならないよう、気合を入れて揉むことが大切です。
特に不眠症の方は親指の揉み方で治るスピードが違ってきます。
官足法にはそれを行うのに便利な「グリグリ棒」「にぎり棒」「T棒」「カニカニはさみちゃん」などのツールもあります。
それから、「腹腔神経叢」という反射区が足裏の土踏まずのど真ん中に広がっています。ここは神経を沈め、序々にバランスを整えます。「副腎」の反射区もあります。「副腎」はストレスから身を守り、炎症を鎮め、心臓の脈を整えます。
「めまい」「のぼせ(ホットフラッシュ)」「ふらつき」「めまい」「頭痛」「発汗」「吐き気」「生理痛・生理不順」「倦怠感」「脱力感」「イライラ」「息切れ」「動悸」「咽喉の渇き」「食欲不振」といった小さな症状から、「不安症」「恐怖症」「うつ」「不眠」「パニック障害」などの神経症、「糖尿病」「肝炎」「癌」などの大病まで、一度狂ったバランスによる障害は極端に言えば果てしがありません。
更年期障害というのはつまり、血行不良に端を発した万病の内の一つに過ぎません。
更年期障害は誰にでも訪れるかと言うと、全く事もなく過ぎ去る人もいます。
自律神経失調症は「ストレス」が引き金となるように、更年期障害は「ホルモン」のバランスが崩れたことが引き金になります。
ですから、更年期障害も自律神経失調症と同じ療法に加えて、「かかと反射区」(=子宮と卵巣のホルモンバランス調整)を刺激することで治すことができるのです。
その前に、ある程度若い頃から足裏を良く揉んで血行を維持しておけば、完全に予防できたことになります。
備えあれば憂いなし、ですが、ことが起きてから慌てるのが普通の人ですから、仕方ありません。
ここを一つのチャンスと思って、体質を改善してしまいましょう。
自律神経失調症を治すことは将来の万病も予防することになります。
それが何より最大のメリットです。
気を楽にして、気負うことなく、手を抜くこともなく、治ることについて疑いを持たず、あせらず、ウォークマットの足踏みの痛みを楽園に向かう茨の道と思い、毎日黙々とウォークマットを踏み、暇な時はいつでも親指をグリグリして、できるだけ明るく毎日を過ごすこと。
これが最速で、最も確実な治療法です。